幻の今福線・川手試堀抗 山県郡安芸太田町
ここは安芸太田町(戸河内) の観光名所 三段峡。
この付近に、
川手という集落あり。
川手を抜ける国道より、あるジャリ道を進めば、
大量の甕壷とフェンスが認められる。
フェンスの奥に鋼板扉で入口を閉ざされた㌧ネルあり。
387㍍も掘り進められた昭和55年に工事が中止された
「(仮称)三段峡㌧ネル」 の試掘坑である。
現在は中国醸造(廿日市市) が焼酎貯蔵庫として転用。
その中国醸造のホムペを見れば
http://www.chugoku-jozo.co.jp/tunnel/tunnel.html
トンネル内は年間を通して温度14度・湿度80%、
焼酎の貯蔵庫として理想的な条件を備えています。
トンネル入口の養魚場では、山女・鯉・鮎が
このトンネルから流れる水で生き生きと育っています。
とある。
昭和49年、
国鉄・可部線のかつて終着駅であった三段峡(現在廃止) より
島根県の浜田駅を結ぶ今福線が着工された。
三段峡駅から次の橋山駅までの間に長さおよそ10㌔㍍もの
三段峡㌧ネルが 掘られる予定であった。
川手の試掘坑は三段峡㌧ネル掘削前の岩盤調査、着工後は土砂の搬出や
資材搬入等の工事専用道として使用される予定であったと聞く。
もしも今福線が開通していたら三段峡㌧ネルは
非電化鉄道の日本最長の㌧ネルであったという。
もう一ヶ所、松原の試掘坑はこちら。
http://yuquihiro.blog118.fc2.com/blog-entry-78.html
さて、
試掘坑前のジャリ道を更に進み、
川手集落の山沿いを小一時間ほど散策。
だが、特筆すべきものは別段なし。
ただ
滅多に人が歩かないだろう山道に
結構立派な鉄橋が架かっていて
「ヘエェー」と思ったくらいか。
国道まで戻り、三段峡養魚場へ。
「トンネルから流れる水で生き生きと育っている」 という魚を見物する。
プールには大型の鯉、外来種のニジマス、
あとヤマメとニジマスをかけたカワメ?とかいう雑種しかいなかった。
アマゴがいたなら買ってかえるつもりだった。残念。
鯉は釣るにはおもしろいけど、食べるのは苦手。
あれは
高2の時、登校中ふと急に学校に行くのが嫌になって
バス停で出くわしたクラスメートのT君を無理に誘って、
横川から可部線に乗って三段峡へ行ったことがある。
遊歩道を二時間ほど歩いて遊覧船に乗り、着いた先が
黒淵荘という旅館。
そこの露天の食堂で「ビール下さい」 と注文すると
店のおばさん、案の定
「あんたたち、学生でしょ?大丈夫なんね?」 という。
学生服に学生カバンをもった私はスラスラ嘘を言った。
「オレ、今日でガッコーやめたんです、明日から働きに出るんで大丈夫です」
おばさんは「ふ~ん」 と怪訝な顔をしながらもビールを出してくれた。
で、
おばさんがすすめるままに鯉のあらいと鯉こくを注文。
鯉の身はコリコリし過ぎて骨が多かった。
鯉こくはにおいがアレで受けつけられなかった。
結果ほとんど残すことになって、店の人に申し訳なくて、
そそくさと代金を払って逃げるように出て行った思い出がある。
以来、鯉料理を口にしたことがない。
三段峡周辺図
タグ : 可部線(廃線区間)